贈り物にもぴったり。織物の街の特産品「桐生織物」の魅力を知る

奈良時代から続く桐生織物の歴史を知る

桐生織物の歴史は非常に古く、ルーツは奈良時代にまでに遡るといわれています。文献として最初に登場するのは「続日本紀」で、713年に後の上野(現在の群馬)の税として「あしぎぬ」(絹織物の一種)が収められていたことがわかっています。

桐生織物には、「お召織り(おめしおり)」「緯錦織り(よこにしきおり)」など7つの技法があり、様々な種類の織物が作られてきました。歴史上の逸話として残っているのは1333年、新田義貞が鎌倉幕府を倒すために挙兵した際、桐生で織った絹でのぼりを作ったという話や、1600年の関ヶ原の戦いの際、桐生の職人たちが徳川家康の命を受け4820反もの絹をわずか1日で織り上げたという話も伝えられています。

その後、昭和初期になると工場化が進み、「ノコギリ屋根」といわれる三角屋根が特徴的な形状の織物工場が多く建ち並びました。「西の西陣、東の桐生」とも称され、日本の主幹産業として栄えました。時代の流れと共にその栄華は過去のものとなりましたが、今でも工場の一部は桐生市内に残っており、貴重な産業遺産としても評価されています。

「桐生織物記念館」で桐生織の歴史や作り方を学ぶ

桐生織物が世に広まっていく時期を支えた「桐生織物協同組合」の旧事務所跡にある「桐生織物記念館」。昭和9年に建てられた建物は、当時流行していたスクラッチスタイルを取り入れた洋風の外観が特徴的です。1階では桐生の織物製品を扱う売店が設けられ、ネクタイやスカーフ、婦人服地、端切れなどを販売しています。

2階は展示室となっていて、かつて使われていた織り機をはじめ、パネルや資料などを用いて桐生織物をやさしく解説しており、ビデオ鑑賞や手織り体験のコーナーもあります。クリスマス恒例のネクタイ・ショールフェアなど、季節ごとの企画展も開催されています。

桐生織物記念館

URL http://www.kiryuorimono.or.jp/kinenkan/

「織物参考館・紫」で織物の伝統や技に触れる

「織物参考館・紫(ゆかり)」は、「動く、さわれる、生きている」をテーマに織物の歴史を知ってもらうために作られた施設です。現在では消滅しつつある古くから伝わる染織技術、織物文化の歴史や発展の足跡などを知ることのできる貴重な資料1,200点余りを展示しています。

古い織機や器具の保全、管理、公開を軸に展示を行い、蚕の繭から糸を取り染色して織り上げるまでの一連のシステムを紹介しています。さらに現在も実際に稼働している工場を見学でき、目の前で織物が生まれる様子を間近で見られるようになっています。

また藍染め手織り教室も開講しており、経験豊かな講師陣が初心者から上級者の方までを丁寧に教えてくれます。売店では、着物地や和装小物、ネクタイなどを販売しています。

織物参考館・紫(ゆかり)

URL http://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/spot/kiryu/1001866.html

自分好みの桐生織物のお土産を探そう

桐生織物の産地を訪ね、歴史や作り方の技術などを学んだら、やっぱり何かお土産を持って帰りたくなりますよね。お土産として人気なのは、桐生織物の技術を生かしながら現代の生活に合わせて作られたアイテムの数々です。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

  • PRIRET(プライレット)の「山ストール」
    桐生出身のオーナーが桐生織物の技術を生かして作り出した、アウトドア用のタオル兼用ストールです。桐生織物の「風通織(ふうつうおり)」を使って、乾きやすさと保温性の高い二重構造の生地で作られています。
  • 桐生ジャガード織の「ネクタイ」
    年々生産が減ってきている国産織物のネクタイですが、産地である桐生では桐生織物のネクタイが比較的安価で手に入り人気です。
  • 超撥水風呂敷「ながれ」
    撥水加工を施した繊維を使い、水を入れても漏れないというほど丈夫な風呂敷。濡れたものを入れても運べる便利さと、エコバックにもなる手軽さで多くの人がお土産に選んでいます。
  • 松井ニット技研の「ニットマフラー」
    職人がラッセル機を改造して織り上げる色鮮やかなマルチカラーのニットマフラー。ニューヨーク現代美術館のMoMAストアで2000年から5年連続でスカーフ部門一位の売り上げを誇ったという人気の商品です。

他にも、魅力あふれるお土産はたくさんあります。ぜひあなたもお気に入りの桐生織物アイテムを見つけてみてください。

※2019年12月現在の情報です