小さな町に酒蔵が3つ! 酒どころ小川町で日本酒の魅力に触れる

酒どころ小川町を訪ねる旅へ

池袋から東武東上線で1時間余り。埼玉県比企郡小川町は、古くから秩父山系を水源とする良質な水を使用した酒造りの町として有名です。現在でも3軒の酒蔵があり、全国的な人気を誇っています。また毎年行われる「酒蔵めぐり」のイベントの際には国内外から多くの人が訪れます。

ここでは、そんな小川町の3つ酒蔵を紹介します。それぞれの蔵ならではのこだわりや魅力を探ってみましょう。

自家精米や花酵母など、素材や製法にこだわった酒蔵「晴雲酒造」

和紙づくりや有機・無農薬農法が盛んな小川町。晴雲酒造では、そんな小川町の米を使ったこだわりの日本酒造りを行っています。素材の良さにこだわり、自分たちの目で見て確かめることをモットーに、使用する米は全て自分たちで精米。現在では当たり前となった純米酒や大吟醸の製法をいち早く取り入れ、日本酒造りの精米率の全国平均が72.5%のところ、晴雲酒造では最低でも65%、大吟醸では39%の精白を行っています。

酵母菌は、ナデシコなどの花からとれる「花酵母」を使い、華やかな香りや芳醇な味を実現。純米吟醸酒「手造り 晴雲」や花酵母の酒「金勝山」、地元の無農薬米で作った純米吟醸「おがわの自然酒」などが人気です。

年中無休で酒蔵見学も受け付けており、敷地内には晴雲酒造の全銘柄を揃えた売店や、採れたての地元の野菜を使った食事処「自然処 玉井屋」も併設しています。

ミネラル豊富な硬水と低温発酵タンクで仕込んだ清酒「松岡醸造」

江戸時代の嘉永4年(1851年)から続く歴史のある酒蔵です。秩父山系の石灰岩層で磨かれた良質な湧水が手に入ることと、八王子街道の交通の要として商人が集まって町が賑わっていたことから、この地で酒造りを始めたといいます。

ミネラル分が豊富なこの地の水は仕込み水として最適で、酵母の生育に必要な成分をたくさん含んでいます。この仕込み水は地下130mから汲みあげる地下水で、硬度127mg/lと日本酒の仕込み水としては最も硬度が高いといわれるもの。松岡醸造では、この硬水ながら丸みのある天然水のみを用い、低温発酵タンクでゆっくりと発酵させることで、独特なまろやかさと奥深さを備えた日本酒に仕上げています。

松岡醸造のお酒は、飲みやすくすっきりとした味わいが人気。敷地内の売店では、大吟醸ソフトや米麹を使ったオーガニックコスメなども販売しています。

松岡醸造株式会社

URL http://www.mikadomatsu.com/

手作り温もり感覚を大切にした酒造り「武蔵鶴酒造」

武蔵鶴酒造では、今も機械に頼らず人の手の温もりと感覚を大切にした酒造りを続けています。埼玉県産の酒造好適米「さけ武蔵」を100%使用した「さけ武蔵」(純米吟醸酒、吟醸酒)や「大吟醸 武蔵鶴」、少量生産品の「大吟醸 全国新種品評会出品酒」などが人気です。

予約をすれば、100年以上前に建てられ今も実際に酒造りを行なっている酒蔵を見学することもできます(10月から年初までの醸造期間中は、実際に仕込みを行なっている蔵は見学できない場合もあります)。

また、上質な酒粕を用いて完全無添加で作られる自家製の奈良漬けは武蔵鶴酒造の人気商品の一つで、遠方からも買いに来るお客さんがいるそうです。

武蔵鶴酒造株式会社

URL http://www.musashitsuru.co.jp/

上質な天然水と恵まれた土地が育む日本酒を嗜む酒蔵めぐり

毎年、小川町では歴史ある3つの酒蔵を巡る「酒蔵めぐり」のイベントが企画されています。また、その期間以外でも見学ができる蔵もありますので、ぜひ問い合わせてみてください。

古い町並みが残り「武蔵の小京都」ともいわれる小川町の趣きある酒蔵をめぐって、ぜひ美味しい日本酒を味わってみてはいかがでしょうか。