時の鐘に蔵造りの街並み。歴史の香り漂う「小江戸」川越

江戸に影響を受けた黒漆喰の蔵の街

岡山県倉敷市、福島県喜多方市と共に「日本三大蔵の街」に選ばれている川越市。1893年の大火の際に蔵造りの大沢家住宅が焼けずに残ったことから、次々と蔵が建てられるようになりました。その街並みは埼玉県で唯一、国の重要伝統的建築物群保存地区に選ばれています。

川越の蔵は、江戸の町に影響を受け、黒い漆喰が塗られているのが特徴です。今もその風情を残し、「小江戸」とも呼ばれています。江戸時代、川越は徳川家と関わりが深く、江戸を軍事的にも経済的にも支えました。

江戸から数えて四代目。川越のシンボル「時の鐘」

蔵造りの街に一際高くそびえる「時の鐘」は、高さ16.2m、木造三層構造の鐘楼です。現在の鐘楼は江戸時代の1627年に建てられた初代から数えて4代目で、明治の大火の翌年に完成しました。毎日4回(6時、12時、15時、18時)、自動で鐘を鳴らします。

環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれている鐘の音。川越を訪れた際には、ぜひ聞いてみてください。

川越の蔵の歴史を知る施設をご紹介

蔵造りの建物が並ぶ一番街には、蔵造り資料館やまつり会館など、川越らしい展示内容の施設があります。

蔵造り資料館は、明治の大火の直後、「万文」というたばこ問屋を営んでいた小山氏が日本橋の商家を参考に建てた土蔵を使った施設です。1977年に資料館としてオープンしました。館内では蔵の内部の見学ができるのはもちろん、蔵造りにまつわるさまざまな資料、職人の道具や民具などを見ることができます。

2003年にオープンした川越まつり会館は、高さ8mの山車2台や大型スクリーンの映像などによって毎年10月に開催される「川越氷川祭り」を疑似体験できる常設館です。山車は定期的に入れ替えられ、日曜や祝日にはお囃子の実演も行われています。

一番街の一本東側、同心町通り沿いに建つ旧山崎家別邸は、2019年に主屋が国の重要文化財に選ばれました。もともと老舗菓子店「亀屋」の五代目主人・山崎嘉七氏の隠居所として建てられましたが、皇族方の迎賓館として使われることもあったといいます。

主屋は、2階建ての洋館と平屋建ての和館、2階建ての土蔵が一体となっていて、洋館の壁にはアールヌーボーを感じさせるステンドグラスが配されています。和館の縁側からは、国宝に指定されている愛知県犬山市の茶室「如庵」を孫写した茶室も眺めることができます。毎週土曜と日曜には、11:00~14:00の1時間ごとに20名限定のガイドツアーも開催されています。

蔵造り資料館

URL https://www.kawagoe.com/kzs/

蔵以外の見どころもたくさん。魅力あふれる川越へ

今までご紹介してきたスポット以外にも、20軒ほどのお菓子屋さんが集まった「菓子屋横丁」や大正時代を思わせるレトロな建物が並ぶ「大正浪漫夢通り」、COEDOビールやさつま芋スイーツなどの川越名物が楽しめる「小江戸蔵里」など、川越にはまだまだはずせないスポットがいろいろあります。

気ままに歩いて回るのも良いですが、広範囲に観光スポットが点在しているので、歩き疲れたら、ボンネット型のバスや人力車、自転車シェアリングなどで移動してみるのも良いかもしれません。

歴史ある建物が建てられた時代に思いを馳せながら、ぜひ小江戸の魅力を存分に味わってみてください。

※2019年12月現在の情報です